2023年06月28日

あなたの知らないビジネスの世界探訪 -vol.8-

沖縄のIT技術を世界に。数々のプロジェクトを成功に導いた山田さんの戦略とは

世の中にはさまざまなニーズが存在し、多種多様なビジネスがあります。業界内の人々にとっては当たり前のことでも、業界外に出てみると知らないことばかりです。

今回は、新卒1年目の社員が、沖縄でDX化に奮闘する山田さんに探求していきます。
山田さんの過去の活動から現在のISCOの事業についてや、海外の展示会ともコラボしているリゾテックエキスポという沖縄での観光×ITの展示会について、詳しくお話をお伺いしました。また、山田さんの「ギブ&ギブの精神」についても具体的お話を交えて教えていただきました。

ぜひ、内容を楽しんでみてください。

山田一誠KAZUSEI YAMADA

大阪出身。株式会社リクルート退社後、複数のネットベンチャーを経験。その後、トランスコスモス株式会社で沖縄の行政を担当。沖縄でのフリーランスや沖縄市観光協会事務局長を経て、現在は沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)で専務理事を行っている。

沖縄のIT技術を世界に。数々のプロジェクトを成功に導いた山田さんの戦略とは。

永岡

初めまして。酒井からご紹介を扱いましたスマートソーシャル入社1年目の永岡と申します。

山田さん

初めまして。沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)の山田と申します。
よろしくお願いいたします。

永岡

山田さんは現在どんなことをされてますでしょうか?

山田さん

現在、沖縄ITイノベーション戦略センターで専務理事をやっています。とは言っても、ITの専門家ではなく、ITのアロハ着た59歳おじさんです。(笑)今着てるアロハはシルクで、レアモノです。沖縄では「かりゆし」と言いますがそれは、スーパーとかにも売ってて被っちゃうから基本一点ものしか買ってないです。ちなみにアロハシャツだけで60着以上持ってます。

永岡

60着!沖縄愛が凄く溢れてますね。山田様は、元々沖縄で活動されていたのでしょうか?

山田さん

元々は新卒で、株式会社リクルートに入っていました。そこで数年間じゃらんの沖縄責任者をしていて。リクルート退社後は複数のネットベンチャーを経験後トランスコスモス株式会社に入り「BtoG事業を立ち上げる」というミッションを掲げて活動していました。トランスコスモスでも、沖縄の行政に関する事を行っておりました。沖縄で頑張っていたのですが、東京都庁担当の辞令がおりました。東京に戻る選択もあったのですが、沖縄に残り仕事をしています。

永岡

沖縄に残った理由は何でしょうか?

山田さん

楽しいからですかね。後、スーツを着なくていい(笑)。なにより沖縄の皆さんに良くして貰っていたのもあります。

永岡

沖縄に行ってから具体的にどんな活動をされていたのでしょうか?

山田さん

顧問契約を4社頂き、沖縄でのフリーランスを始めました。顧問としては公募案件の事業を受託させるのがミッションでした。最終的に、紹介だけで8社と顧問契約を結んでいましたね。ある時沖縄市観光物産振興協会の副市長から電話があり、観光協会の立て直しの依頼を頂きました。そうして、観光協会事務局長になり、4年間沖縄市の地域振興に携わりました。

永岡

観光協会の事務局長になりどんな事を行ったのでしょうか?

山田さん

初めに市役所と約束したことが3つあって
DMO化
自主財源の確保
会計の透明化
これらを行いました。

永岡

なるほど。観光協会は補助金で運営するものだと思うのですが、自主財源はどうやって確保したんですか?

山田さん

元々修学旅行生の受け入れをしていました。「コザ」という米軍基地がある場所なのですが、平和講話で70年前の戦争の歴史を学んでもらうより、いまここにある基地を題材に体験型の「まち歩き」を販売の中軸に置きました。

永岡

地元の特性を生かして、自主財源を確保すると。

山田さん

また、沖縄市はドル紙幣が使用できる場所があるので、商店街の方々と協力して買い物体験で修学旅行生にドルを使用して貰うんです。町の人も観光協会の人たちがドル紙幣を使用する人を連れてきてくれたという感じに、喜んでくれるわけです。それで、街の皆さんも満足するコンテンツを作り自主財源を確保していきました。

永岡

ドル紙幣を使う体験ですか!面白い発想ですね。既存の社会生活に学習を組み込むことが、他の平和学習との差に繋がっていますね。

ISCOの海外戦略。リゾテックエキスポで沖縄のITブランドを確立

永岡

現在、ISCOではどういったことを行っているのでしょうか?

山田さん

ISCOは大きく分けて4つの領域で活動しています。

①行政DXの支援
産業DXの支援
リゾテックエキスポの運営
④スタートアップ支援

この4つで動いています。行政のDX支援について少しお話しすると、沖縄には41の市町村があり、その中の20の市町村と連携協定を結んでいます。課題を教えていただきながらISCOで解決できることは解決していき、解決できない部分は民間のこの企業を利用して行った方が良いよ等アドバイスを行っています。

永岡

沖縄の半分の市町村と協定を結んでいるのですね。リゾテックエキスポというのは一体何でしょうか?

山田さん

リゾテックエキスポは沖縄県の全産業DX推奨を目的にした観光×ITの展示会です。昨年が第4回目の開催で昨年度は24団体の後援を頂き、2日間で8,500人が来場しオンライン含めると1万3800人、参画企業は160社でした。担当のPMが頑張ってくれて、マスコミにも後援を行っていただきまして。新聞なんかが初日の朝取材に来てくれて、翌日の朝刊には掲載されていました。リアル開催が2日間なので新聞を見てくださった方が来場してくれるという。

永岡

1万3800人ですか!凄い人数ですね。

山田さん

新たな試みとして昨年度は学校との連携をしまして、学校がクラスで来てくれるから若い子たちがたくさん来てくれてそこを新聞記者が写真におさえてくれる。今年のリゾテックエキスポは違うぞという風に取り上げてくださって。そこも来場者が増えた理由ですね。ISCOの担当のメンバーもマスコミ対応など頑張ってくれて。

永岡

マスコミの使い方が素晴らしいです。新聞を見た人が来てくれるという、無料で良い宣伝になる。

山田さん

他のイベント連携も行っています。CEATEC(シーテック)という日本でも大きなITの展示会とも連携して、それぞれの展示会のお互いに展示ブースを設置したり。今年は、InnoVEX(イノベックス)という台湾の大きな展示会とコラボしました。そこで、ブースを設置するだけでなく台湾でのコンテンツを実際に実施しました。7月下旬には出展企業がキャンセル待ちになる予定ですね。

永岡

凄い人気ですね、、!日本の展示会以外にも海外の展示会にも広げていて「沖縄から世界に」という感じが伝わってきます。いつか、リゾテックエキスポに行ってみたいです!
話がISCOの事業内容に戻りますが、スタートアップ支援は具体的にどういったことをやられていますでしょうか?

山田さん

スタートアップ企業の支援に関してですね。
最近では、韓国の支援団体との包括連携協定が無かったので、ここを中心に動いていました。
新卒内定率の低さが韓国では課題になっている為そこに焦点を当てて、人手不足の日本と、就職率が低い韓国で何かできないかと。韓国の若年層を沖縄で採用しようとKOTRA(大韓貿易投資振興公社振興)と包括連携協定を結びました(2023年6月30日)

永岡

海外との連携に向けても精力的に動いていらっしゃるのですね。

割り切って与え続ける”ギブ&ギブの精神”を持つことで、結局自分に帰ってくる

永岡

ここまで、ISCOの活動に関してお伺いしました。活動の根源は、一体何でしょうか?

山田さん

ISCOの社会的地位を上げるにはどうすれば良いのかと純粋に考えています。最近だったら、沖縄でテレビ番組を作ることが決まりました。

永岡

テレビ番組!面白いですね。一体どんな内容ですか?

山田さん

沖縄の企業の頑張っている現場の職員達を紹介するっていう内容を予定しております。職員さんの奥さんとか家族が喜ぶじゃないですか。ISCOは最後に少し紹介して貰うだけでいいので、メインは企業の職員さんです。

永岡

確かに。家族が映っていたら嬉しいです!家族も誇りに思うし、沖縄で仕事していることも誇りに思うのではないでしょうか。お話の中で、山田さんは仕事の中で常に誰かを喜ばせているなあと感じます。

山田さん

最近よく思うのだけれど、ギブ&テイクではなく「ギブ&ギブ」だと思うんです。テイクを意識しちゃうとだめです。割り切って与え続けるとどこかのタイミングでお天道様は見てくれるって59歳になって思います。

永岡

何かそう思うきっかけがあったのでしょうか?

山田さん

沖縄に来てフリーランスとして顧問契約した時でしょうか。助けられたなと最近思い返して。

永岡

なるほど。何か与えて何か得たという原体験があったりしますか?

山田さん

沖縄市観光物産振興協会で感じました。先ほど自主財源の確保の部分でお話した、儲かったお金は三等分しました。地域社会に還元・頑張ってくれている従業員・将来の観光協会の為に残すという風に。そこでちょうどコロナになってしまい。そこで真っ先に会員の会費を無料にしたんです。コロナで苦しんでいる会員さんから会費は取れない。更に、沖縄市観光物産振興協会県独自で宿泊キャンペーンを行いました。I協会の会員ホテルに宿泊された場合、クーポンを発行して宿泊費の一部を協会が持ちました。その時に「観光協会ありがとう」という声をたくさんいただいて。それが原体験としてあって。

永岡

ギブ&ギブですね。まだまだ目先の利益を意識してしまい、見返りを求めずに与えるだけって難しい事です。これからもっと精進しなければいけません、、!

永岡

最後に、ISCOとして山田さんのこれからの課題ってありますか?

山田さん

まだまだISCO動き出したばかりなので、もっと「ありがとう」と言ってもらえるような活動を頑張りたいですね。具体的には、リゾテックエキスポの所で、今後海外からの来場者や出展社を増やしていくというのは1つ指標になるかなと思います。

永岡

ISCOのご活躍を祈念いたします!いつかリゾテックエキスポにも行きたいです。
お忙しいところありがとうございました!

今回の発見

  1. マスコミは工夫1つで興味を持つ人を増やす戦略の大きな1つになる。
  2. 既存のものの特徴をとらえて意味を持たせることで他と差別化することが出来る。
  3. ギブ&ギブの与える精神を持つ。誰かに「ありがとう」と言われる仕事をすることが結局自分に返ってくる。

今回の記事いかがでしたでしょうか?

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